マーシャル・スタック

ロックのイメージを体現するものが一つあるとすれば、それは Marshall 4x12 をおいて他にはありません。
最初の4x12インチ・キャビネットは、ジム・マーシャルの手により1962年に作られました。以来、何万台もつくられたこのキャビネットは、あらゆるステージを飾り、サウンド的にもルックス的にも、ロックには欠かせない存在になりました。
その後、8x12インチ・キャビネットなど、実験的なフォーマットを経て現在のスタイル、つまりフラットな前面を持つキャビネットの上に、角度付きのキャビネットが乗るという形が生まれました。
ハードロック/へヴィ・メタルの象徴ともいえる、この「三段積み(左写真)」は圧倒的な存在感と壁のようなサウンドで、多くのギタリストがオーディエンスを沸かしています。マーシャルが作り上げたスタックというスタイルは、まさにオリジナルなのです。

AキャビかBキャビか?

↑ Aキャビネット
↑ Bキャビネット
 マーシャル・キャンネットには、AキャビネットとBキャビネットの2つのタイプがあります。
斜めにキャビネットをカットしアングルをつけたものをAキャビネット(Aは、AngledのA)、アングルのついていないものをBキャビネット(BはBaseのB)と言います。
 これら2つのキャビネットは、どちらも12インチスピーカーが4つ搭載されていますが、出てくる音は若干違います。
一般的にAキャビネットは、スピーカー2つが上に向いているため音に広がりがあり、にぎやかな感じがあります。また、遠くまで音が届く性質があります。
一方、Bキャビネットはアングルがついていないため、Aキャビネットよりも質量が大きこと、スピーカー4つともほぼ正面を向いていること(若干角度がついています。)により中低域が引き締まった聞こえ方がします。

スピーカーの数とキャビネットの大きさ

 搭載されているスピーカーの数は音量を左右する重要な要素です。同じワット数のヘッドで鳴らし比べた場合、スピーカー数が多い方がより大きい音圧感を得ることができます。ピート・タウンゼンドが8x12インチのアイデアを出したのもうなずけます。また、音圧が増大するだけでなく、音の広がり感も増します。
 スピーカーを納めるキャビネットの大きさも音質に影響を与えます。寸法が大きいほど低音が出やすくなるため、例えば、同じスピーカーを4台搭載している1960AXと1960TVを比較した場合、1960TVの方が低音が出やすくなります。

入力について

搭載されているスピーカーの種類と数によって許容入力が異なります。
フルバルブアンプを大音量で使用する場合、キャビネットの入力は最低でもアンプの出力の2倍の容量を確保すべきです。フルバルブアンプは弾き方によってピーク時には定格出力をはるかに超えた信号をキャビネットに送り出すことがあるからです。
  例えば、1959HW(出力100W)を1960AHW(入力120W)1代につないで大音量で鳴らした場合、過入力によりスピーカーを損傷する恐れが十分あります。これを回避するには、スピーカーキャビネットを増設して(三段積み)入力を分散させるか、ボリュームを絞ってお使いください。
  トランジスタパワーアンプの場合(AVTX、MODEFOUR、MG等)は定格出力以上の信号はキャビネットに送り出されないので出力通りの入力のキャビネットをご使用いただけます。
(MODEFOURの場合は、インピーダンスマッチングに十分ご注意ください。)

インピーダンスマッチング

スタックを組む場合、インピーダンス・マッチングが非常に大切です。誤って使用すると音質が低下するばかりでなく、アンプやスピーカーを損傷することがありますのでご注意ください。
●フルバルブアンプの場合
使用するキャビネットが1台の場合は、キャビネットの入力インピーダンスと同値の出力で結線します。
例えば、1960キャビネットを1台使用する場合、入力インピーダンスは16Ωですから、アンプ側も16Ωのスピーカーアウト端子から出力します。8Ωキャビネットが1台のときは、8Ωで出力します。ビンテージ系のヘッドを除き、基本的にマーシャルのヘッド・アンプは16Ωで使用することをおすすめしています。
それでは、フルスタック(三段積み)のように入力インピーダンスのキャビネットを2台同時に使用する場合はどうすればいいのでしょう?この場合は、「キャビネットの入力インピーダンスを、使用するキャビネットの数で割った値で出力する」という公式があります。すなわち、16Ωキャビネットを2台使用する場合は、16÷2=8Ω となります。8Ωで双方のキャビネットに出力してあげてください。
異なったインピーダンスのキャビネットを混合して使用する場合には、この公式は適用されません。

●トランジスタ・パワーアンプの場合 (MODEFOUR、AVTX、MGなど)

トランジスタのパワー回路を持つアンプとスピーカーのインピーダンス・マッチングの方法もバルブ・パワーアンプと同様に、直列の場合/並列の場合/インピーダンス複合の場合 の接続方法を適用することが可能です。
バルブのパワー回路を持つアンプの場合は、使用するスピーカーのトータル・インピーダンスとヘッドのインピーダンスをセレクターを用いて合わせたり、特定のインピーダンス値を持った専用ラウドスピーカーアウトに接続しますが(JVM、TSL、DSLなど)、トランジスター・パワーのアンプの場合には、「アンプ側であらかじめ設定されているMin(ミニマム)インピーダンス値を下回らない」という約束を守る必要があります。

 

幅広いニーズに応える、多彩なラインナップ。―― Marshall ――