FenderJapan Factrytour フェンダージャパン工場見学

よく晴れたある日。招待を頂き、東京よりもちょっぴり寒い長野県某所のFenderJapan工場へ見学に行ってきまました!
世界的ギターブランド 「Fender」の名を冠し、高品質でコストパフォーマンスに優れた国産エレキギター・ベースブランドとして
多くの人々に 愛されるFender Japanですが、実際そのFender Japanの楽器はどの様に造られているのか、
気になる方もたくさんいらっしゃるはず。そんな皆様へ工場の見学レポートをお届けします!

第二弾「塗装・仕上げ」編へ >>> Fender Japan特集ページへ >>>

第一弾「木工」

 工場へ一歩足を踏み入れ、一番意外だったのは、その整理整頓の行き届いた工場内の様子と、機械による正確な加工と職人さんによる手作業での加工がきっちり分けて行われていたこと。

 ギターやベースの工場と聞くと、機械がずらりと並び、木材がベルトコンベアの上を流れ…といった具合で全自動で造られて行くか、何から何まで職人さんがカンナや小刀で削り出して行く工房のような様子をイメージしがちですが、フェンダージャパン工場ではその両方をうまく使い分けていました。


 一見は一聞にしかず。まず最初におおまかな加工が行われる製材所の様子を、写真でご覧ください!

ボディーの加工

積まれた木材。もちろんシーズニング済みです。
これらがこれからギターやベースのボディーに化けていきます。

まずは、NCルーターと呼ばれるコンピューター制御の
大型機械で、大まかなボディーの形に成形されていきます。

大分仕上がってきました。画像はジャズベースですが、
他のモデルでも同じ様に造られます。

これだけでボディーはほぼ完成。
あっという間です。

ネックの加工

 ボディーに続いて、ネックの加工の様子です。実はボディーとネックは塗装が終わり組み込みがなされるまで同時進行で作業が進んでいきます。製造のしやすさもストラトキャスターやテレキャスターなどのボルトオンギターの利点の一つですね。

ボディーと同様、NCルーターでネックの大まかな形を出します。
同時にトラスロッドの溝も掘っています。

トラスロッドのための穴あけ。
正確に穴を開けられる様ガッチリ固定。

トラスロッドの仕込みは職人さんが手ずから。
ネックの「命」に関わる部分だけに真剣そのもの。

綺麗にトラスロッドが仕込まれたネックたち。

ノコがたくさん並んだ物々しい機械。
指板のフレットの溝を一度で掘ることができる優れ物。

木工加工が終わり、塗装を待つネック。


 以上まず写真で大まかな流れをご覧頂きました。

 冒頭のボディーやサイドポジションの穴空けなど、同じものを同じ形に加工し続ける場合は機械の方が効率よく正確に加工ができます。
この効率の良さが、フェンダージャパンが日本製でありながら価格をぐんと抑えられる最大のポイントです。

 上に掲載した写真では機械での作業が多いようですが、もちろん機械にセッティングをし、加工後のチェックや微調整のために職人さんが常に監督しています。ですが、それとは一線を画して職人さんによる手作業にて行われる工程もたくさんありました。

フェンダージャパン ネックへのこだわり

 ではどのような工程で職人さんが手作業で行うのか。

 両者を分ける最も大きなポイントは、木の特性である「狂い」による影響をどれだけ受けるか、という部分にあります

 ご存知の方も多いと思いますが、木は製材された後も外気の影響を受け続けるため、常に状態が変化し続けています。これを「狂い」といい、ギターやベースも木を加工して造っている以上は製造中どうしてもこの「狂い」がでてしまいます。そして木材の個性が一本一本違う以上、その狂い方もまた一本一本全く違い、機械では対応できないのです。

  ボディーは体積が大きい分狂いが少なく、また多少狂っても塗装前の最終調整で調整でき、機能上も問題はないのですが、ネックは細長ため狂いも大きくなりますし、厚みや弦高、フレット高など0.1mm単位で基準が設定されているネックにおいては一度形を出した後の修正は困難です。この狂いは絶対に避けて通れない、避けて通ってはいけないものなのです。

 弦楽器にとっては「命」と呼ばれる程大切なパーツでありながら、この「狂い」の影響を最も受けやすいネック。

 そのネックに対して、フェンダージャパンは並々ならぬこだわりをもち、多くの工程を手作業にて行っていました。

ロッド・フレットへのこだわり

 例えば、上に写真を掲載したトラスロッドの打ち込み。ロッドはネックの命とも呼ばれ、ひいては楽器そのものの命と言っても過言ではありません。
 しかもロッドの溝を切ってから埋め込むまでにもネックの状況は刻々と変化するため、それに合わせてロッドを埋め込む必要があります。
 この作業の精度でロッドの利き具合が全く変わるだけあって、携わっている職人さんの表情も真剣そのもの。

機械の感触を確かめながら手先の力加減だけでプレスする様はまさに職人技

 続いて工場のもう一つのこだわりが、フレットの打ち込みです。

  これもまた機械で次々に…というイメージがありましたが、実際は職人さんが一本ずつ丁寧に打ち込んでいました。

 自然の産物である木は、プラスティックなどの素材と違い同じ木材の近い部位でも硬さが微妙に違います。これに全て同じ力でフレットを打ち込むと、打ち込んだ深さがまばらになってしまい、フレット高がバラバラになってしまうとのこと。

 それを防ぐために、職人さんが手作業で一本ずつ打ち込んでいるのです。

  これによって後のすり合わせ作業も最小限で済みますし、フレット高の精度が飛躍的にアップし、フレット毎の弦高が安定するので、完成後の細かいピッチの安定感にアップもつながります。



FenderJapan工場最大のこだわり ネックグリップ

 そしてこちらの工場でも、最もこだわっているポイント。それがネックグリップ部です。

ネックグリップ加工の様子

 左の写真はネックグリップの様子。実はこれ、グリップ加工の中でも最も初期の粗削りの段階。こういった荒削りは機械を使って自動的に済ませてしまうことも多いのですが、Fender Japan工場ではこの段階から職人さんが手作業で行っています。

 木材の狂いは保管時の変化だけではなく、加工、特に削ることによっても起こります。木材の質量や支えあっていた繊維同士の状態などが激しく変わるために大きく反ってしまうことも多いとのこと。

 これを見極め、ボディー側からヘッド側への自然なテーパーを確保しつつまっすぐな状態で加工するために、グリップ部の加工は常に職人さんが手作業で行います。

 それに加えて、グリップ形状の問題もあります。実はFenderらしい丸みのあるネックグリップは特に難易度が高い形状。

 平たいグリップはより直線に近いので加工がしやすいのですが、曲線に近い丸いグリップを綺麗に造るのは凄く難しいことなのです。

 実はこの日工場長にご案内頂き色々とお話も聞かせて頂いていたのですが、その中でこちらの工場がFender Japanの工場として選ばれのは、Fenderの担当者による試奏時にネックグリップの仕上がりが抜群によく、とても気に入ったのですぐに決まった、という逸話がある程。

 ギター・ベースにとって最も大事といっても差し支えがなく、最もこだわっている部分を評価され嬉しかった、と工場長が語ってくれました。

 FenderJapanをお持ちの方やこれから購入予定の方はロッドの利きの良さや、グリップのなめらかな感触、均一に整ったフレットなど、ネックへの並々ならぬこだわり、よくよく触って確かめてみてはいかがでしょう?
 数々のこだわりから生まれた手になじむようなネックには、さすがこだわりにこだわり抜いて造られるものは違うと納得できるはずです。

  以上、Fender Japan工場見学レポートの第一弾として木工段階の様子をお送り致しました!
 今回は木工加工部分だけとなりましたが、もちろんこれで終わりではありません!
 順次続きもお送りしていきます!乞うご期待!

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