カスタムショップ製で見る Gibson LesPaulの魅力
愛され続ける構造

レスポールのボディ

ギブソン初のソリッドギターであるレスポールの構造は1952年の時点でほとんど完成されていたと言えます。1953年のブリッジ変更(別コラム参照)にともなってネックの仕込み角度が変わったのを除いては、その基本的構造はのちのバージョンに受け継がれ、57年型ゴールドトップを経てサンバーストになっていきました。
サンバースト・レスポールの木部構造は、パーツ類と同じように58年型のゴールドトップから受け継いでいます。唯一の相違点はトップ材のピース数です。ゴールドトップには任意の幅で張り合わされた3ピース(まれに2〜5ピースのものもある)材が使われていたが、サンバースト・レスポールではセンターで張り合わせた2ピース仕様になりました。

 

 

ブリッジの変更とネックの仕込み角度

1952年:発表されたレスポールは、トラピーズ・テイルピース/ブリッジが搭載され、ネックの仕込み角度が浅かった。

1954年:テッド・マッカーティの考案によるバー・スタイルのブリッジが搭載され、ネックの仕込み角度が深くなる。

1956年:チューン・オー・マチックABR-1が導入され、細かなオクターブ・チューニングが可能になる。

 

レスポールの構造とその特徴

1・ディープ・ジョイント

オリジナル・レスポールのジョイントは、数あるジョイントの中でも最大限の強度と安定感を誇っています。ディープ・ジョイントまたはロング・テノンと呼ばれる方式ではボディとネックの接着面積大きいこと、ネックとボディをロックするような形で指板が接着されているのが特徴です。


2・ヘッド・テーパー

1960年代までのギブソンギターのヘッドには根本か先端かけてテーパーがつけられていました。レスポールにもそれが応用され、ヘッドの根本と先端では平均約1.2mmの厚みの差があります。このデザインの本来の目的は、角度のついている部分の強度を増し、ネック折れを防ぐためにありましたが、その副産物として次の現象が起こります。

ペグのストリングス・ポストの部分の長さは一律で変わりませんが、それが取り付けられる部分の厚さが違うことで、ナットに近いペグほどシャフトの露出が短くなっています。その分、ナット側のペグは角度がきつくなり、テーパー無しの場合よりテンションが高くなります。また、厚みによる剛性の高さも音質の違いとして現れます。

3・ネックの木取り
ネック関係でもう一つの重要な点は、木取りの角度です。ヘッド根元の部分の強度を増すための目的でネックの木取りは斜めになっている。ネック折れを防ぐには非常に効果的な方法です。

4・コントロール・キャビティ
アーチトップにコントロール・ノブを付ける場合、位置によってノブの角度が変わります。レスポールではボディ背面からルーター加工によってコントロール・キャビティを作りますが、ノブの角度調整のため3種類の違う角度から加工しています。
5・カッタウェイ部分のバインディング
オリジナル・レスポールではカッタウェイの位置側部分のバインディングがトップのエッジに合わせて曲がる形で入っています。その結果、わずかにメイプル材が露出します。
ちなみに手作業なので個体差がでるのも事実です。
6・ヒールの形状
58年から60年にかけてネックの厚さが変わったことによりヒールの形状も変化します。一般的に、ネックが厚い方がヒールは大きくなり、ネックが薄いとヒールは小さくなります。もちろん、例外のレスポールも存在します。
7・トップの構造とカーブ
ボディはアーチ・トップのメイプル、バックは柔らかいマホガニーです。この固く重いメイプル・トップが長いサスティンを生みだすようになっています。これはブリッジの下部に質量があると振動は消費されにくく、一部は反射してブリッジから弦へと押し戻されるからです。残りの振動エネルギーは次の様な形でボディのすみずみまで伝えられます。
トップの中央に与えられた振動は外周にゆくほど減衰するが、その分トップの厚さが小さくなっているので、均一の厚さの場合よりも減衰しにくく、ボディ各部へむらなく振動を伝えていきます。これはアコースティック・ギターの力木の働きに似ています。トップから伝えられた振動はマホガニーのバックにより消費(ボディを鳴らす)され、柔らかいサウンドを生み出す。このようにレスポールのボディの構造は、ボディで適度に振動を消費させ、かつサスティンも得るという、バランスのとれた形となっているのです。

 

レスポールのパーツ

ブリッジ&テイルピース
テッド・マッカーティの発明によるギブソン初のフルアジャスタブル・ブリッジ”チューン・オー・マチック・ブリッジ”。ABR-1という型番でレスポールには、55年のゴールドトップに初めて搭載されました。ダイキャストの台座部分にブラスのサドルを組み合わせた構造です。
テイルピースはアルミ・ダイキャストにニッケル・メッキを施したものになっています。メッキ作業に大変な手間がかかるため、70年代には亜鉛系の素材に変更されました。スタッドを上下することで、サドルにかかるテンションを変えることができるようになっています。
チューニング・ペグ
ギター業界定番のクルーソン社製。つまみの部分は、経年変化が起こりやすく、黒ずんだり、変形したりすることが多いです。
ノブ
トップハットと呼ばれるタイプで、55年、チューン・オー・マチック・ブリッジとほぼ同時期に搭載されました。もともとはクリアなプラスティックで、裏側からゴールドをペイントして全体をゴールドに見せています。
3WAY・トグル・スイッチ
3WAYトグルスイッチでフロント、ミックス、リアの切り替えができるようになっている。ちなみに、ネック側は[rhythm」、ブリッジ側は[treble」。
ピックガード
ロケットの尾翼を思わせるピックガード。トラディショナルなボディ・シェイプとは対照的なデザインですが、これがあるのとないのとでは全体の印象がだいぶ変わります。

 

レスポールの仕様木材

マホガニー メイプル ローズウッド
≪音質特性≫
≪音質特性≫
≪音質特性≫

豊かな中低域、暖かなトーン。高音域が弱いため、全体に丸く甘い印象で、鋭いアタック感が不足します。シングル・コイルよりはパワーのあるハムバッカーと相性がよく、薄いボディでも十分なミッど・レンジが得られます。メイプル材とラミネートすることで弱い高音域をカバーすることができます。

非常に堅く弾力性のある材なので、アタック、サスティンともに優れています。輪郭のはっきりしたクリアな音質特性。ネック材に使われることが多いですが、レスポール・ボディのようにマホガニーとのラミネートの相性に良さも見逃せません。生育条件によってはトラ杢などが出ることもあります。

指板材として十分な硬さを持つ密度の高い材。導管が太いため吸水性に優れ、プレイアビリティも高いです。アコースティックギターではボディのサイドにも使われることがあります。

耐衝撃性
剛性
密度 ◆◆◆
加工性 ◆◆◆◆
曲げ強度 ◆◆
圧縮強度 ◆◆◆
耐衝撃性 ◆◆◆◆
剛性 ◆◆◆
密度 ◆◆◆◆
加工性 ◆◆◆
曲げ強度 ◆◆◆◆
圧縮強度 ◆◆◆◆◆
耐衝撃性 ◆◆◆◆
剛性 ◆◆
密度 ◆◆◆◆◆
加工性 ◆◆◆◆
曲げ強度 ◆◆◆◆
圧縮強度 ◆◆◆◆◆

耐衝撃性 木材に対して急激な力を加えた時の強度を示します。
剛性 木材が、強固であるか柔軟であるかを示します。
密度 木材の目の詰まり具合。比重と同義。
加工性 木材の加工のしにくさ。◆が多いほど加工性が悪い。
曲げ強度 木材に曲げる方向の力を加えた時の強度を示します。
圧縮強度 木材の繊維方向に圧力を加えた時の強度を示します。

 

レスポールの素晴らしさがいつまでも.........