ギターピック基礎講座 その2

基礎事項その3 材質

サウンドを決める最重要ポイントは材質の違いにあります!

ピックに使われる材質はプラスティック系が主流で、原料の調合などにより、膨大な種類が存在します。
今回は一般的に販売されているものを1種類ずつ選んでいますが、最も種類が多く古くから使われているセルロイドに関しては、特別に2種類を弾いてみましました。

形状はすべてティアドロップで統一。厚さはできるだけ1.0mmに揃えましました。


今回の試奏で最も印象に残ったのは、材質の違いは硬さや耐久性だけでなく、指に触れた時の感触、弦にタッチした時の感触、さらには弦を振り抜く時の摩擦感やヒットした時の衝撃の吸収度、レスポンスなどにも大きく表れているということです。この差は、ほぼ同じ硬さで素材が素材が異なるもので明確な違いとして体感できましました。
また、滑りやすさの違いも大きな発見のひとつ。では早速、種類ごとに詳しく説明していきましょう。

 

材質1:セルロイド(試奏ピック:フェンダー"Classic Celluloid”&ギブソン"GG-74”)
フェンダー"Classic Celluloid”
サウンド

オーソドックスで慣れ親しんだ感じですが、突出した個性がなくニュートラルなサウンド。中音域の効いたコリコリする音もある一方、やや倍音が不足している印象も感じられます。へヴィーなバッキング・プレイにオススメ。

感触

硬度が高いわりに指に対しては軟らかく、やや滑りやすいが弾きづらさや違和感はありません。弦にヒットした時はゴチッとした感触ですが、ピックが弦からの衝撃を吸収するので、指もつらくありません。

ギブソン"GG-74”
サウンド

アタックが立つ感じで、リードのツブがよく揃います。バッキングでは、ロック系よりはシャープなカッティング系に合うサウンドが特徴。

感触

ピンポン玉に似たような感触で、どちらかというとサラサラする感じです。比較的心地よくしっかりと指に止まるタイプです。軟らかいわりには弦の反動がスピーディーに感じられます。振り抜く時にはやや引っ掛かりがありますが、そのおかげで高音域が出る。

材質2: ポリアセタール
(試奏ピック:ESP"PT-10P-10”)
材質3: ナイロン
(試奏ピック:HERCO"FLEX75”)
サウンド

高域〜低域までバランスが良く、太めの音質。弦がよく鳴る感じで、オールマイティーな印象です。早い音の1音1音を出すタイプではありませんが、バッキング全般には最適だと言えます。

感触

表面はザラザラとしているが、そのわりに比較的滑りが良い。とは言っても、こまめに持ち替えればプレイに支障はないでしょう。アックの衝撃はよく吸収してくれます。弦に接触した後、滑るようにすり抜けず、摩擦係数が高いようなイメージを受けます。

サウンド

甘く、ややぼけている感じですが、ソフトなリード・プレイで威力を発揮しそうなサウンド。

感触

基本的にツルツルしているが、表面処理が施されていれば指にしっかり止めることができるので問題はありません。
弦からの衝撃はかなり吸われてしまい、指にダイレクトに返って来ないため速弾きには向きませんが、逆にそのレスポンスの遅さがバッキング全般に適していると言えます。柔らかく弾くバラード系には最適!この感触は好き嫌いが分かれるかもしれません。

材質4: 塩化ビニール
(試奏ピック:ピックボーイ"GP-71-2”)
材質5:トーテックス
(試奏ピック:ジム・ダンロップ"Tortex Standard”)
サウンド

セルロイドに近いが、中〜高音域のアタック音がゴチッと出てくる。倍音も比較的少ない方ですが、セルロイドより中音域がよく出ています。

感触

ツルツルして滑りやすく、弾いている内にズレることがありますが、ポリアセタール動揺に弾きながら細かく持ち替えれば問題ありません。盛った感じは硬いのに、不思議とあったかい印象です。弦の反動がダイレクトに指に返ってくるので、速弾きに適していると言えます。耐久性は極めて高いようです。

サウンド

非常にブライトで硬い音。高音域が出てくる感じで、バキバキとしたパンチの効いたサウンド。

感触

ピンポン玉のような感触で、指にあたたかみを感じる(ベッコウに近い?)。また、滑り止め河口の必要がないほど素材自体の摩擦が大きく、指にピタッと止まります。弦からの衝撃が指に返って来るのもスピーディーで、速弾きに良さそうです。弦にタッチした時にはザラザラした感触と摩擦音が得られますが、振り抜くとするっと抜けるので、へヴィ系バッキングにも最適です。

材質6:ウルテックス
(試奏ピック:ジム・ダンロップ"Ultex Standard”)
材質7:ニトロセルロース
(試奏ピック:ghs strings"A55HV”)
サウンド

弦がよく鳴り、弾き方次第でサウンドが大きく変化するが、全般的に太めでしっかりとしたブライトな音が出しやすいです。また中音域に伸びがあり、高音域もしっかり出せます。

感触

"人の爪に近い素材”を使って作られた個性派ピック。サラサラに近い感触ですが、指からは案外滑らない。
ほど良くこすれる感じもあり、すり抜け方が良好なのでバッキング向き。リードもOKですが、速弾きを助けてくれるタイプではないかも。弦の衝撃はかなり吸う方です。

サウンド

非常にブライトで倍音がたっぷり入ったサウンド。アタックのパンチが特に強烈です。ハイ・ゲイン・サウンド系、特にエッジを効かせたバッキングなどに最適でしょう。低音はタイト気味。

感触

セルロイドより滑りやすく、指からズレやすいです。ピック自体は硬いが、指には軟らかくあたたかい。弦からの反動はダイレクトに返って来る。ゴチゴチとしたアタックを活かしたり、摩擦音を使ったりリフ系のプレイに最適ですが、ストロークにもオススメです。

材質8:ポリカーボネイト
(試奏ピック:グレコ"Polycarbonate Pick”)
材質9:レクサン
(試奏ピック:ジム・ダンロップ"Big Stubby”)
サウンド

高音域がよく出ますが、摩擦感が少ないため倍音は比較的少ない。しかしアタックは鋭く速い。シングルコイル系では少々攻撃的過ぎるかもしれませんが、レスポールなどのハムバッカー系にはマッチしそうです。

感触

なめらかですが、滑り止め加工がなくてもベタッと指に止まってくれます。弦からの衝撃はほど良く返って来るので、レスポンスもなかなか。ほぼオールマイティーに使えるでしょう。特に太いカッティングにはオススメですが、速弾きは得意ではないかもしれません。

サウンド

甘くて丸い感じです。充分な音量は感じられますが、パワー感で歪みを増強するタイプではありません。

感触

透明でツルツルと滑りやすく、滑り止め加工が不可欠。素材が軟らかいため無意識にピッキングに力が入り、それによって音量が上がる感じです。弦からの衝撃はほとんど返って来ませんが、このタイプが好きな人には唯一無二の一枚です。摩擦音やエッジが少ないので、メロディーを優しく弾くリード系にマッチしそうです。好みにもよりますが、案外スウィーブ系にハマる可能性もあります。

材質10:PPS
(試奏ピック:フェルナンデス"P-100PPS”)
材質11:ウルテム
(試奏ピック:クレイトン"Ultem Gold US107”)
サウンド

ベチベチとした個性的なサウンドで、高音域成分はたっぷりですが、湿度の高い感じの音色。中音域も硬くラリー・カールトンのようなリード・トーンが出そうです。

感触

ほど良くなめらかだが滑りやすいので、滑り止め加工は不可欠。持った時は薄く感じるものの、弾いていると厚ぼったい感触がします。エッジもツルツルしているが、意外と弦に対して摩擦があるので、速く細かいフレーズを即座に反映するタイプではありません。1音ごとの手応えを確かめながら魂を込める、ブルース系のプレイにハマりそうです。

サウンド

高音域がパッと出るイメージですが、その割に倍音はあまり出てきません。
ソウル系のクリーン・カッティングに最適。

感触

セルロイドのようにキメ細かく、あたたかみがある好感触。滑り止め加工の必要はないでしょう。弦にはほど良い引っ掛かり感があり、パワーを溜めてパーンとコードを鳴らしたい感じです。その引っ掛かりゆえに速弾きには向きませんが、バッキング全般に威力を発揮しそうです。耐久性はかなりありそうです。

材質12:セルテックス
(試奏ピック:ピックボーイ"GP-88R/100”)
材質13:カーボングラファイト+ナイロン
(試奏ピック:ピックボーイ"GP-33R/100”)
サウンド

輪郭がしっかりとした音で、中音域がよく出る。リード向きのサウンドが特徴(ティアドロップ型のわりに、先端が尖っているので、その辺りも考慮に入れるべきかもしれません)。

感触

表面はサラサラとしていて、あたたかな感じが非常に心地好い。弦をヒットした時の衝撃をきちっと伝えてくれるので、ピッキング正確にコントロールすることができます。側面で弾いても滑らず、速いフレーズも違和感がないでしょう。微妙なニュアンスを付けるなど、自分がイメージしたフレージングの再現を目指す人向け。

サウンド

低音がしっかり出て、全体的にサウンドが太く、とても気持ち良い。弦がよく振動する感じです。

感触

指触りはセルロイドっぽく、少々厚ぼったいニュアンス。弦のタッチ感を非常に正確に伝えてくれ、素早いニュアンス・コントロールが可能です。サラサラしているわりに弦に対する摩擦感もしっかりあり、持つ角度を変えながら1音ずつ正確にプレイすることもできます。速弾きに向いているが、バッキングもイケるでしょう。

材質14:金属(試奏ピック:BIG WEST CREATION"Hi Tech Metal Pick”)
ステンレス
サウンド&感触

やや荒れたサウンドが特徴。

ニッケル・シルバー
サウンド&感触

金属らしいメタリックな感じです。

サウンド&感触

リンリンとした鈴のような鳴りで、手触りが心地好い。

真鍮(ブラス)
サウンド&感触

シンバルなどにも用いられるブラスは、想像通り楽器らしく太いサウンド。

チタン
サウンド&感触

驚くほど軽いのに飛び抜けて硬く、軽やかで芯の通ったサウンド。

アルミ
サウンド&感触

軽く、まさに1円玉のような感触。音も軽やか。

硬さ

金属はプラスティック系の材質に比べて耐久性がはるかに高く、素材によっては半永久的に使用ができるのが大きな魅力。激しいピック・スクラッチを何度行ってもあまり磨耗しません。反面、逆に弦が磨耗して耐久性やサウンドに影響を及ぼす可能性があります。 全般的に硬いイメージですが、意外にもプラスティック並みにしなる薄いピックも作られています。

 

補足:その他の材質には何がある?

その昔、ピックに使われる最高の素材はベッコウ(原料は亀の甲羅)でした。最適な硬さと抜群の手触り、そして弦に接触した時の程よい粘りと滑りを併せ持った素晴らしい材質です。 高級品だが人気が高く、'80年代にはワシントン条約で取引が禁止されるまで、ピック界のトップに君臨していましました。

 

ベッコウが姿を消した後は、その代替品探しをするかのようにプラスティック系素材の種類が急増。

今回試奏したピックの大半はこれです。原料の調合次第ではまだまだ新しい材質が開発される可能性があり、以前はあり得なかったプレイアビリティを実現したピックも出てくるかもしれません。また、金属においても、現在も新しい素材や製品が開発されています。

 

その他には石を用いたもの、通常ギター向けではないがフェルトやラバー製といったものもあり、いろいろと試してみる価値はありそうです。

番外編 様々なアイデア・ピックetc.

一概に、ピックの種類は形状、厚さ、素材だけで分析しきれません!

「形状」、「厚さ」、「素材」だけ違いでは分けられない、その他のアイデア・ピックの数々をご紹介いたします。
最近ではポピュラーなものになった「滑り止め」から、1枚で何役もこなすピック、思わず何枚も買いたくなるクールなデザインまで、そのバリエーションは実に多彩です。
ここでご紹介するもの以外にも、沢山の種類がありますので自分に合うものを探してみてください。

 

指離れを防ぐ滑り止め 1枚で何役もこなす便利ピック
Sand Grip Wizard Series by Ibanez

紙ヤスリのようなザラザラとした感触で、指から離れるのを防いでくれる。爪を削れるくらいの摩擦力です。

DAVA Control Pick by DAVA

ピックの中央が微妙にへこんでおり先端を持った時、中央を持った時、端を持った時でしなり方が変わるという、アイデア・ピックです。

速弾き養成ピックの代名詞 ピッキングの力をアップさせるアイデア・グッズ
Stylus Pick by Jim Dunlop

先端に引っ掛かりやすい円錐形の部分をわざとつけることで、弦へのヒットを浅くするよう矯正させるスパルタなピックです。

Power Pick by Groove Tubes

通常のピックに持ち手を装着することによって、20倍ものピッキング力を生むことができるアクセサリー。角度の調整が付けづらいので、慣れるまでには時間が必要です。

思わず何枚も買いたくなるクールなデザイン
Monster Collection by Hot Picks

ガイコツ、ドラキュラ・・・など、モンスターのプリントが入れられたピック。
形状もかなり凝っています。

 

Zemaitis Pick by Zemaitis

印刷ではなく、彫金加工のような立体的なエンブレムが入れられたゼマイティスのピック。
かっこいいだけでなく、 滑り止めにも一役買っています。

ギターピック基礎講座 その1 形状・厚さ編はこちら